1.NFT AMMの背景
主流のNFT取引市場ではP2P取引が最も一般的で、買い手は関心のあるNFTにオファーを出すか、売り手の上場価格に基づいて直接購入することができます。この種の取引はオーダーブック指値取引です。この方法の欠点は売り手が常に迅速な売却を行えるとは限らず、資産を迅速に売却する必要がある場合は価格を下げざるを得ず、結果として損失が生じる可能性があることです。こういった場合に対応するため、NFT AMMが導入されました。NFT AMMは流動性に重点を置き、ユーザーが流動性の提供者となることを可能にします。市場の流動性に参加することで、ユーザーは副次的な収益を得ることができます。
AMMとは?
オートメーテッドマーケットメイカー(AMM)は分散型取引プラットフォームで一般的に使用されているプロトコルであり、数式を通じて資産の価格付けを行います。オーダーブック方式を使用する従来の取引プラットフォームとは異なり、資産の価格付けは価格付けアルゴリズムによって行われます。 AMMの価格計算式はプロトコルによって異なります。例えばUniswapは定積マーケットメイカーモデルを使用しており、x * y = kという式で表されます。この式では、xは流動性プール内の1つのトークンの数量、yはもう1つのトークンの数量、kはプール内の流動性の総量が一定でなければならないことを示す固定定数です。 AMMはETH/USDTのような取引ペアを設定することで、従来のオーダーブック取引プラットフォームと同様に機能します。ただし、AMM を使用するトレーダーは特定の取引相手と取引する必要はありません。代わりにトレーダーは流動性プールと対話し、アルゴリズムを使用してインスタント取引を実現します。
NFT AMMとは?
NFT AMMはNFT専用に設計された自動マーケットメイカープロトコルです。あらゆるユーザーがマーケット流動性プロバイダーになることができ、NFTコレクタブル取引の流動性を向上させることで、Defiと同様の取引条件をNFT市場に提供します。ただし、Defiとは異なり流動性プールはNFTとトークンで構成され、ユーザーは流動性プールを通じてNFTを売買することができます。 従来のUniswapモードで使用されていたx * y = kの定積モデルとは対照的に、NFT AMMは線形曲線と指数曲線を特徴とする価格関数モデルを採用しています。線形曲線のプールではNFT価格はトランザクションが発生するたびに一定の数量デルタだけ動きます。一方、指数カーブのプールでは、取引が発生するたびにNFT価格に一定の比例デルタが乗じられます。比例デルタはフロープール作成時にユーザーが設定し、変更することはできません。
NFT AMMの利点とは?
従来のAMMモードとNFT AMMモードを例に、2つの価格モデルの違いを実際のデータ会計で実証します。通常、1つのNFTプロジェクトの作業数量は1万件未満です。ユニスワップ流動性プールx * y = zの定積アルゴリズムを使用した場合、一方的な流動性不足により多数の価格ずれが発生する可能性があります。
*1.従来のAMM (x y= k の定積モード)**
ここでxはNFTの数量、yはETHの数量、zは固定定数で、この場合はz=100です。
ただし、継続的な売買によりプール内のNFT数が大幅に減少すると、価格が急激に拡散する可能性があります。例えば、プールにNFTが2つしか残っていない場合、購入価格は50ETHに跳ね上がりますがプールにNFTが10つ残っている場合、購入価格は1.111ETHになります。したがって供給が限定的でユニークなNFTにとって一定商品アルゴリズムの使用は最も効果的な価格設定方法とは言えないかもしれません。
2.NFT AMM (指数曲線)
これは指数曲線の流動性プールの例で、10 NFTと10 ETHで構成されデルタは0.1です。取引が発生するたびNFT価格は1.1倍(1 + デルタ0.1)されます。
その結果、プールに10 NFTが残っている場合、購入価格は1 ETHになります。プールにNFTが2つしか残っていない場合、購入価格は2.144ETHに上昇するだけで、前の例の50ETHと比べて大幅に減少します。この価格モデルは従来のAMMと比較して価格変動幅が狭く(流動性プール内の最高NFT購入価格は2.358ETH、最高NFT売却価格は2.358ETH、最低NFT購入価格は0.386ETH、全体的な価格変動幅は2以内)、限定的なNFT市場取引に適しています。
流動性プールとは?
流動性提供者(LP)は流動性プールの機能において重要な役割を果たしています。基本的に、LPは資金をプールに注入し、トレーダーが取引を行うための大きな資金プールとして機能します。プロトコルに流動性を提供する対価として、LPはプール内で行われる取引からコミッションを得ます。DeFiモデルではコミッションの割合はプロトコルで一律に決定されます。しかし、NFT AMMモデルでは手数料の割合は流動性プールの作成者が設定します。 例えば、Uniswapの場合、LPはETH50%とDAI50%をETH/DAIプールに入金する等、2つの同等のトークンを流動性プールに入金する必要があります。一方、NFT AMMの場合、LPは一定数量のNFTと同等のトークンを流動性資金プールに入金する必要があります。例えばLPは1枚のBAYCと100USDTをBAYC/USDT資金プールに入金することができます。
一時的損失とは？
一時的損失は、入金されたトークンまたはNFTの価格比が最初にプールに入金されたときと比較して変化した場合に発生します。価格変動が大きいほど、一時的損失は大きくなります。"一時的”という用語は、資産が最初の入金価格まで回復すれば損失が軽減される可能性があることを意味しますが、入金時と異なる価格比率で資金が出金された場合、永続的損失になる可能性があります。したがって流動性プール内のトークンやNFTの価格が大きく変動した場合、流動性プロバイダーはトークンをプールに入金せずそのまま保有することをお勧めします。
NFT流動性プールの作成方法は?
NFT流動性プールを作成するにはGateアカウントにログインしNFT AMM機能を使用します。プールの種類を選択し3つのオプション(トークンでNFTを買う/トークンとNFTを売る/手数料を得るためにNFTを取引)から選択し、取引ごとに課金される取引手数料の割合、NFTの初期価格、価格カーブの変化方法、各取引後のNFT価格の変化の割合など、流動性プールのパラメータを設定します。
次に流動性プールのパラメーターを設定します：
パーセンテージ： 取引ごとに課金される取引手数料のパーセンテージ
初期価格： NFTの初期価格
ジョイントカーブ：価格カーブの変化
デルタ：各取引後のNFT価格変動の割合
左半分は価格パラメーターの設定です。合理的なパラメータ設定が流動性プールを成功させる鍵となります。買いと売りの上限を設定すると、プロトコルがNFTとトークンの入金数を計算します。下の価格曲線を見れば取引のコストと収益を確認できます。
最後のステップで流動性プールに追加するNFTを選択し、パラメータが正しく設定されているかどうかを確認します。作業と資金の再ロードが完了すると作成は完了です。
